日刊知的ぐうたら生活

ボーカリストSCHAZZIEのブログ

鬼平犯科帳最終回

毎週日曜日の夜中は、その日録画した「鬼平犯科帳」を観るのが習慣になっていました。

弟が亡くなって間もなく、奇しくもその時に読んでいた池波正太郎の『鬼平犯科帳』が、中村吉右衛門主演のテレビシリーズで再放送されることになり、最初は毎日、最近では日曜日だけになりましたが、1作も欠かさず観て来ました。

この2年間、もちろん原作も全24巻読破し、本の方にもはまりましたが、話す相手もなく、胸に抱えていた想いを、吉右衛門鬼平に随分慰められました。

中村吉右衛門さんも亡くなられてしまいましたが、鬼平の正義感や優しさ、人を思う心の大きさは本当に素晴らしいし、池波正太郎が「吉右衛門でなければ」と言っただけのことはあり、吉右衛門さんは鬼平そのものでした。

鬼平長谷川平蔵は実在の人物です。『鬼平犯科帳』のエピソードは池波正太郎の創作ではありますが、とにもかくにも鬼平が実際にいたということは、希望のない世の中にあって、自分も鬼平のように生きたいと、希望を失わずに生きる為の光でした。

昨夜はその「鬼平犯科帳」が最終回スペシャルで、いかにもにこれでお終いという作りだし、2年間心の拠り所だった番組が本当に終わってしまうのかと、最後は涙にくれた次第。

鬼平は死なねぇよ」

という科白も泣けるじゃありませんか。しかも、火付盗賊改方の長官も解任されるというのだから、これはもう本当に最後だと。

原作の最後は、作者の池波正太郎が亡くなった為、シリーズの途中で終わっているので、今回の終わり方は完全にドラマ用ではありますが、涙なくしては観れないものでした。

最近お酒は飲まないのだけれど、これは飲むしかないと、とっておいた日本酒まで飲み、別れを惜しむことしきり。

しかし、ドラマが終わり、これで心の拠り所もなくなったなと感傷に浸っていたところ、「次回はシリーズ9の第1話をお送りします」というクレジット。

目が点になりました。あれ?今日は最終回じゃなかったの?と。そういえば「鬼平犯科帳」は9シリーズまであると、どこかで見たような。とすると、今日のはシリーズ8の最終回?

でも、これまでのシリーズごとの最終回はこんな終わり方はなかったし、火付盗賊改方の長官も解任されてしまうわけだし、さてどうなるのでしょう?

最初に再放送と書きましたが、私自身はリアルタイムの放送は全く観たことがなかったので、全話が初回でした。なので、この先は全く見当がつきません。

ともあれ、まだ続くことに安堵しながらも、次の最終回は本当に本物の最終回なのだな、いつか必ず終わりは来るよねと思うと、寂しさは変わりませんでした。

いずれにせよ、今しばらくはまだ鬼平に会う事ができますが、ドラマが本当に最終回を迎えて終わったら、また原作を読み直そうと思います。

自分の事しか考えない人の多い、この汚れた世の中で、鬼平という常に人の気持ちを汲み取ることのできる、リーダーとはこうでなければと思える素晴らしい存在が、今の私の唯一の救いなのです。