日刊知的ぐうたら生活

ボーカリストSCHAZZIEのブログ

花巻蕎麦ふたたび

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以前にも書いたことがありますが、芦川淳一さんの時代小説《おいらか俊作》シリーズの主人公・滝沢俊作の好物である「花巻蕎麦」。自分でも想像で作ってみたことがありますが、今いち正解が分からずにもやもやしていました。

江戸時代からある蕎麦とはいえ、これを置いてあるお蕎麦屋さんはなかなかありません。がしかし、遂に「花巻蕎麦」のあるお蕎麦屋さんを見つけたので、食べてみました。

実は昨年の大晦日に行って「花巻蕎麦」があることを発見していたのですが、その時は天ぷら蕎麦を食べてしまい、次回には必ず!と思いながらも、コロナやら何やらで外食の機会がなく、なかなか行けずにいたのです。

最近、時代劇を観ながら日本酒を呑むというシチュエーションにはまっている為(けして日本酒が好きなわけではないのだけれど)、お蕎麦屋さんで日本酒を呑むのもいいなあと思っていました。青森の「田酒」も置いてある店だし、また行ってみるかと久々の外食。

さて、いざ「花巻蕎麦」を頼んでみたら、蕎麦の上の海苔が、ざる蕎麦に使うようなきざみ海苔で、なんかイメージが違ってちょっと待てよと。芦川さんの本には確かこう書いてありました。

「花巻とは、あぶって揉んだ海苔を、かけ蕎麦にふりかけたものである。江戸前でとれた海苔の香りが蕎麦の風味を引き立てている。」
──芦川淳一〈おいらか俊作江戸綴り〉『若竹ざむらい』

というわけで、ビジュアルが違う。それに細く刻んだ海苔では、海苔の香りはあまり感じられません。つゆもアゴ出汁のようで、これでは江戸前とは言えない。というのも、つい最近までアゴ出汁は関東のそばつゆには使われていなかったからです。

はっきり言っちゃいましょう!自分で想像して作った「花巻蕎麦」の方がはるかに美味しかった。大晦日に行った時はいいお蕎麦屋さんだと思ったのだけれど、今回はがっかりでした。

やっぱり私は神田の「やぶそば」が一番好き。今回のお蕎麦屋さんは値段もやぶそばと一緒くらいだし、だったらはなからやぶそばに行った方が間違いない。ちょっとお高くても、美味しいから文句もないし満足できる。もっとも、今回の目的は「花巻蕎麦」だったので致し方ない。

やぶそばには残念ながら「花巻蕎麦」はないけれど、やぶそばのつゆで作ったら、きっと美味しいでしょうね。江戸前の作りに合う蕎麦なのだと思います。

※上が今回食べた花巻蕎麦、中が自分で作った花巻蕎麦。下は芦川淳一さんの《おいらか俊作》シリーズ5作。