「わしも、おのれの若いころをおもうと、めったなことはいえぬが、それにしてもひどいものよ。これでは、徳川の世の行末がおもいやられる」
長谷川平蔵は、久栄に、そういった。
「あのような悪業をしておきながら、恬として恥じぬ。小さいころから若殿様の御身分であまやかされ、おのれのすることは何でも通るものとおもいこまされ、他人はみな、おのれに従うものと考えている。秋元左近の亡父は、むかし、大御番の頭をつとめた人だそうな。それほどの人が、一人息子の左近を、どのように育てたものか、おれには、さっぱりわからぬ」
あー、こういう人知ってる!安倍晋三って言うんだよ。いつの時代にもいるんだねぇ、こういうあきれはてた殿様。